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周辺細胞による調節機構をすり抜け「転居」するがん細胞

研究論文概要

2012年3月

ガンは腫瘍の成長を伴う病気を指す名称で、腫瘍は体内のあらゆる種類の細胞から発生します。単一細胞や小さな細胞群が制御されずに増殖を始めることにより、腫瘍が発生します。これらの細胞が、通常であれば細胞増殖を制限するはずの周辺細胞からの調節シグナルを回避して増殖し生き残る過程は、遺伝子変異だけでは説明がつきません。変異細胞の周辺における細胞組織化の研究は、ガン発生の理解を深めます。

Leung氏とBrugge氏は、3次元細胞培養システムを用いて腫瘍発生の初期段階を再現しました。著者らは、非形質転換細胞ヒト乳房上皮細胞MCF10Aを用いて、増殖が阻止され極性増殖した腺房様構造を、再構成基底膜上に形成させました。これらの三次元的な腺房中で単一細胞内にガン遺伝子を導入し、組織された上皮細胞中で散発性変異細胞がどのように発生するかを調べました。その結果、ERBB2の過剰発現が見られる単一細胞が上皮層から分離し、管腔へ転移することが分かりました。細胞増殖の阻害によって転移の過程を抑制することはできませんでしたが、転移を阻害することでクローン性増殖は防ぐことができました。著者らは、ERBB2過剰発現細胞の局在する部分の基底膜の欠陥を観察し、転移は局所的な細胞基質接着の障害によって誘発されるという説を打ち出しています。結果からは、ERBB2を介したクローン性増殖は初期の細胞転移が関与しており、これによって細胞が上皮細胞の制御機構をくぐり抜けることができるということが読み取れます。同研究は、ハーバード・メディカルスクールにあるニコンイメージングセンターのニコンA1及びC1共焦点顕微鏡と、CSU-X1スピニングディスク共焦点ユニットを搭載したニコンTi-E倒立顕微鏡を使って実施されました。

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