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硝子軟骨修復に新たな希望

研究論文概要

2012年2月

多くの骨の関節部表面に見られる硝子軟骨は、クッションの役割を担い、骨表面を保護しています。硝子軟骨には血液や神経が供給されていないため、成長・修復能力が限られており、変形性関節症のような消耗性疾患を引き起こすことがあります。損傷した硝子軟骨は線維軟骨(瘢痕組織)によって置き換えられますが、線維軟骨は軟骨基質の生化学的特性の変化、機械的機能障害やそれによる罹病などを引き起こすI型コラーゲンを含んでおり、硝子軟骨とは異なります。硝子軟骨の損傷や変性を、線維軟骨ではなく硝子軟骨で修復することは、臨床医学における課題の一つとなっています。自家幹細胞移植による硝子軟骨の再生は期待が集まる治療法です。最近では、平松氏らが硝子軟骨修復の細胞源として皮膚由来細胞を利用する可能性について研究を行いました。

平松氏らは、マウスの皮膚細胞から硝子軟骨細胞を作製できるか検討しました。皮膚細胞はその特性上I型コラーゲンを多量に発現するため、研究には困難が予想されました。硝子軟骨細胞の作製には、皮膚細胞のいくつかの基本的特性を排除し、新たな特性を誘導することが必要となります。研究チームは、二種のリプログラミング因子(c-MycとKlf4)と軟骨形成因子SOX9のレトロウイルス発現によって、成熟したマウスの皮膚細胞から軟骨形成細胞を誘導できることを証明し、作製された細胞株の一部が安定した硝子軟骨様組織を生成することも分かりました。著者らはこの方法によって、最初にiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作製することなく、患者に特異的な硝子軟骨を皮膚細胞から直接生成できる可能性があると結論づけました。軟骨形成細胞誘導過程のタイムラプス観察は、BioStation CTで行われました。

研究論文原文

Generation of hyaline cartilaginous tissue from mouse adult dermal fibroblast culture by defined factors.(遺伝子導入による皮膚線維芽培養細胞からの硝子軟骨様組織の誘導)新しいウィンドウで開く
(English)
Hiramatsu K, Sasagawa S, Outani H, Nakagawa K, Yoshikawa H, Tsumaki N.
J Clin Invest. 2011;121(2):640-57

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